相続税の税率と計算方法を徹底解説!
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自分で計算するときの注意点
相続税は、やり方さえ覚えれば自分で計算し具体的な数字を出すことも可能です。ただし、相続する財産の種類や引き継ぎ方などによって自分で計算するには複雑すぎるケースもあります。また、相続に関する知識が浅く、考慮すべき点を無視して計算してしまうことも考えられるでしょう。相続税の計算における注意点を以下にご紹介します。
相続税対策を考えるときの注意点
相続税が高額になると予想される場合は、節税対策をしてできるだけ税金を減らしたいと考える人も多いのではないでしょうか。節税を考えるのなら、税理士などの専門家に相談するのが無難です。なぜなら、相続税を減らす方法は複数あり、自分に合ったものを見極めることが難しいからです。さらに、特定の節税対策を選択したとしても、それに伴う税金の計算が新たに加わり負担がかかります。
暦年課税制度は、よく知られている相続税対策の一つです。この制度は、子や孫に対して親または祖父母が贈与した財産総額を年間110万円以下まで非課税としています。贈与対象が18歳以上の場合、年間110万円を超えても贈与税が軽減されるため、節税に適している制度と言えるでしょう。ただし、年間110万円以上の贈与を行えば、特例税率を用いた計算をしなければなりません。
また、暦年課税制度には、贈与した人が贈与してから3年以内(2024年1月1日からは7年以内)に亡くなった場合は、贈与分を相続財産に加算するという決まりがあります。暦年課税制度が相続税対策として適当でなければ、他の節税方法を探す必要が出てきますが、
・どの方法を選べばよいのか
・その方法を選んだ場合、どの程度の節税が期待できるか
・その方法を選ぶと、どのようなデメリットが発生するか
といったことについて、専門家からのアドバイスを受けたくなるでしょう。
土地評価の問題
土地が絡む相続の場合、「土地の評価を適切に行う」という課題が生じます。自分で相続税を計算する場合は、土地を評価することがネックとなるでしょう。なぜなら、土地を正確に評価するには専門的な知識が必要になるからです。
土地の評価の計算は、路面方式または倍率方式を用いられますが、どちらも必要な情報を手に入れれば誰でも計算できます。例えば路線価方式で土地の評価額を計算するには、固定資産税の納税通知書や路線価図、登記事項証明書(登記簿謄本)などを用いて土地の面積や持分割合、路線価を調べ、各要素を掛け算して算出します。
ただし、土地の相続税評価額はこれらの方式で計算して終わりではなく、土地の形状や立地条件、利用方法などの減額要素を考慮したうえで、各種補正率を適用して減額し最終的な評価額とするケースも少なくありません。減額要素をどのように考慮するのかが難しく、税理士の間でも減額要素の判断が異なることもあるほどです。このように、計算が複雑な土地の評価においては、専門知識がない限り自分で正確に計算することは難しいといえるでしょう。
各種税制特例の利用可否の問題
相続のケースによっては各種税制特例が適用されて、相続税の減額が期待できます。ただし、特例を適用すべきかどうかの判断が難しい場合もあります。
例えば、「配偶者の税額軽減」は、配偶者に対して1億6,000万円までの相続に対して税金を免除するというものです。また、二次相続を含めて考えた時に、子の負担を軽減するために特例を使わず財産を分散する方法がよいとの結論に達するかもしれません。こうした判断は慎重に行うべきであり、税理士など専門家のアドバイスを参考にするのが無難でしょう。
税務調査対応の問題
税務調査とは、税務署員が申告された相続税の正確性を調べることです。税務調査は全てのケースに対して行われるわけではありませんが、被相続人の家族名の金融資産が多い方や医師、弁護士、会社経営者などの特定の職業の相続税申告で実施される確率が高いといわれています。相続税の計算は複雑であるため、専門家ではない人が計算した場合、正確性が疑われやすいというのが理由の一つです。
税務調査が行われると、税務署員の質問に全て答える必要がありますし、持っている財産について全て明らかにしなくてはなりません。もし計算ミスがあった場合は、たとえ故意でなかったとしても申告漏れとみなされて追徴課税が発生することがあります。相続税が高額になる可能性がありかつ複雑である場合は、税理士に任せた方が安心です。