相続税の税率と計算方法を徹底解説!
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相続税計算の全体の流れを知ろう
相続税は、遺産の中でも課税対象となるものから基礎控除額を差し引いた金額に課されます。相続税の計算はいくつかの段階を踏んで行いますが、大きく分けて以下の4ステップで計算していきます。
ステップ1:課税価格を算出する
ステップ2:基礎控除額を計算し課税価格から差し引く
ステップ3:各相続人の法定相続分と相続税の総額を算出する
ステップ4:各相続人が支払う相続税を算出する
各ステップについて、詳しく見てみましょう。
ステップ1:課税価格を算出する
相続税を計算するには、最初に課税対象となる財産の価格(課税価格)を明らかにする必要があります。課税価格は「加算項目-減算項目」で求められます。
主な加算項目と減算項目について下表にまとめました。
加算項目
減算項目
・本来の「相続財産」(土地や現金など)
・相続開始前3年以内(改正後7年)の「生前贈与」
・「みなし相続財産」(死亡退職金など)
・「相続時精算課税制度」による贈与
・非課税財産(生命保険の非課税分など)
・債務(住宅ローンなど)
・葬儀費用
課税価格の計算は、各相続人(法定相続人)が引き継いだ財産に対して実施します。例えば、故人の配偶者が6,000万円の自宅を相続した場合、住宅ローンがゼロであれば、6,000万円が課税価格です。もし住宅ローンが1,000万円残っている場合は、6,000万円から住宅ローンを差し引きます。
6,000万円-1,000万円=5,000万円
ステップ2:基礎控除額を計算し課税価格から差し引く
基礎控除とは簡単に言うと非課税枠のことで、計算式は以下のとおりです。
「3,000万円」+「600万円×法定相続人の数」
相続において課税価格が基礎控除額以下の場合は、税金が免除されます。
例えば、相続人が2人の場合の基礎控除額は、4,200万円です。
3,000万円+1,200万円=4,200万円
もし、課税価格の合計が2,500万円である場合は相続税がかかりませんが、8,000万円の場合は、以下のように基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出します。
8,000万円-4,200万円=3,800万円
ステップ3:各相続人の法定相続分と相続税の総額を算出する
法定相続分とは民法で定められている財産の取り分のことで、以下のように定められています。
法定相続人
法定相続分
配偶者
1
第1順位
配偶者
1/2
子
1/2
第2順位
配偶者
2/3
父母/祖父母
1/3
第3順位
配偶者
3/4
兄弟姉妹/甥・姪
1/4
各相続人の相続税を計算する前に、法定相続分をそれぞれ計算します。その次に、「法定相続分×相続税率」の計算式を用いてそれぞれの税額を算出しましょう。なお、該当する相続税率は、国税庁が公開している「相続税の速算表」で確認できます。算出された税額を合計したものが、相続税の総額です。
出典:『No.4155 相続税の税率』(国税庁)
ステップ4:各相続人が支払う相続税を算出する
各相続人の納付税額は、以下の手順で計算します。
①「課税価格÷課税価格の合計」から各相続人の取得割合を出す
②「相続税総額×取得割合」から相続税額を出す
③「控除」または「加算」を適用して各相続人の納付税額を計算する
主な控除と加算の種類について、下表にまとめましたのでご参考としてください。
控除
加算
・配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)
・暦年課税分の贈与税額控除
・相次相続控除
・相続時精算課税分の贈与税額控除
・未成年者・障害者控除
・相続税の2割加算
「相続税の2割加算」とは、下記の続柄以外の人が相続する場合に適用される計算式のことです。
・配偶者
・一親等の血族(子や父母など)
・養子縁組をした子(代襲相続人でない孫養子は2割加算の対象)
・代襲相続人となった孫
上記以外の相続人(遺言書によって相続人となった第三者も含む)は、通常計算された相続税額に20%が加算されます。
例:100万円(相続税額)+(100万円×20%)=120万円