相続税とは?税理士がわかりやすく簡単に解説!
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相続税に関する基本情報
相続税は、多くの人にとって身近な税金の一つです。けれども、相続という特別なイベントに発生する税金であるため、具体的な計算方法や贈与税との違いなどよく分からない点も多いのではないでしょうか。「相続税を理解するのにこれだけは知っておきたいこと」をご紹介します。
相続税は「課税遺産総額」にかかる税金
課税遺産総額とは、相続する財産全体から必要なものを控除して残った金額のことを指します。例えば、遺産を遺して父が亡くなったとしましょう。この中には、プラスの財産とマイナスの財産とがあります。さらに、死亡保険金や過去3年または7年以内に贈与した財産など課税対象となるもの(加算項目)や、葬儀代や死亡保険金の非課税枠など非課税となるもの(減算項目)がありますが、これらをプラス/マイナス財産にそれぞれ加えて差し引きしたのが課税価格です。
父が総額1億円の遺産と、借入金1,000万円を遺して亡くなったとしましょう。その場合の課税価格は、9,000万円です。
1億円-1,000万円=9,000万円
相続税にはさらに基礎控除が設けられています。そして、1億円の遺産を相続する人が4人いた場合の基礎控除額は、以下のように計算されます。
・基礎控除額の算式:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
・基礎控除額の計算:3,000万円+2,400万円=5,400万円
価格課税から基礎控除額を差し引いたのが課税遺産総額で、ここに相続税がかかります。
9,000万円-5,400万円=3,600万円(課税遺産総額)
相続税と贈与税との違い
相続税と贈与税との違いを簡単に言いますと、前者は被相続人が亡くなった時の財産に対してかかる税金で、後者は被相続人が生前に財産を贈与した際に発生する税金です。相続税は相続財産全体が対象ですが、贈与税は贈与した財産のみにかかります。
一般的に、贈与税の方が相続税よりも高い傾向にあります。ただし、これはケース・バイ・ケースで、場合によっては贈与税の方が安くなることもあるのです。
先ほどの例では、9,000万円の遺産総額に対する相続税は、ざっと計算しただけでも360万円です。仮に暦年贈与(年間110万円以下までなら贈与税がゼロ円になる制度)を利用して、1人ずつ年間100万円を22年間贈与し続けた場合はどうでしょうか。暦年贈与は受贈者1人につき年間110万円まで非課税となりますので、毎年税金はかかりません。
400万円×22年=8,800万円
被相続人が亡くなった時点で残った財産が200万円であれば、相続税もかからないでしょう。極端な例かもしれませんが、節税を考える場合は相続税と贈与税について理解を深め個人の事情に合わせてシミュレーションすることが大切です。
相続税は自分で簡単に計算できる?
簡単かどうかは、相続する財産の内容や相続人などによって異なりますが、自分で相続税を計算することは可能です。また、相続税の計算には手順がありますので、それを覚えれば自分でも相続税を算出できるでしょう。
詳しい計算方法については、こちらをご参考ください。
⇒『自分の相続税の税率はどれくらい?計算式と流れを解説!』
相続税を自分で計算する際に留意するのは、税務調査の対象になりやすいということです。相続税の計算は、複雑になる傾向にあるといわれています。それを素人が計算したものをベースに相続税申告をした場合、税務署は計算ミスや申告漏れを疑いやすいのです。税務調査が入ると財産や相続内容について厳しく追及されます。仮に記入漏れなどが見つかった場合は、たとえ「純粋に知らなかった」としても、追徴課税が課される可能性が高くなります。相続が複雑になる場合は、税理士などの専門家に依頼するのが無難でしょう。
自分で計算が難しいケースには何がある?
自分で計算が難しいケースには、財産評価が難しい財産を相続する場合でしょう。
その典型的な例が、土地の評価です。
土地の評価には、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。両者の計算式はシンプルなうえ必要な情報も自分で収集しやすいのですが、「良い形をした土地」というのは珍しく、実際の土地には形状に差があります。形状によって利便性が損なわれることを想定し、土地の評価では補正率を適用させて修正します。この場合、土地の評価をする前に補正率を計算する必要があるのですが、その土地をどのように補正するのか(補正には、間口や奥行きなど考慮する点が複数あります)という判断は、専門家によっても解釈が異なるほど複雑です。
評価が難しいケースとしてもう一つ挙げられるのが、自社株評価です。自社株評価とは簡単に言うと非上場株式を評価することで、相続した自社株に対して相続税が発生します。自社株評価では、その計算式もさることながら、株主を明確にして細かな条件と照らし合わせながら会社の規模を確定したうえで複数ある計算式の中から最適なものを選ぶなど、計算するプロセスから複雑です。税理士でも理解するのが難しい点があるほど難易度の高い計算ですので、自社株評価を相続する場合も、その道に詳しい専門家に計算を依頼するのが望ましいでしょう。