相続とは?専門家がわかりやすく簡単に説明致します!

相続の基礎知識を知ろう!

相続には、日ごろ耳にしないような専門用語や特定のルールがあります。
特に知っておきたいのは、以下の5点です。
・法定相続人と法定相続分とは
・遺留分とは
・遺産分割とは
・民法上と税法上の相続財産の範囲の違い
・遺言や家族信託がある場合の相続

それぞれ詳しく見てみましょう。

法定相続人と法定相続分とは

相続では、亡くなった人のことを「被相続人」、被相続人の遺産を引き継ぐ人のことを「相続人」と呼んでいます。「法定相続人」という表現もありますが、これは民法が定めている相続人のことです。さらに民法では、法定相続人が引き継ぐ遺産の取り分も規定しているのですが、これを「法定相続分」と言います。
法定相続人
法定相続人となる人は、配偶者と血族(法定血族を含む。法定血族とは、養子と養親のように、法律上血族とみなされる関係です)で、配偶者は常に相続人となるのですが、血族については、相続の順位があり、先順位の相続人が存在しないか、全員が相続放棄をした場合にのみ、次の順位の人が相続人となります。
・第1順位(直系卑属):子、代襲相続人
・第2順位(直系尊属):父母、祖父母
・第3順位(傍系血族):兄弟姉妹、代襲相続人
代襲相続人とは、代襲相続する人を指し、代襲相続とは、被相続人の死亡時点において、既に死亡していた相続人がいた場合に、その相続人の地位を取得することを指します。
代襲相続人となり得るのは、被相続人の孫、ひ孫といった直系卑属か、被相続人の甥姪です。代襲相続人が複数いる場合には、全員が相続人となります。
法定相続分
法定相続分は、次の図表の通りです。

法定相続人
法定相続分

第一順位
配偶者
2分の1

子又は代襲相続人
2分の1

第二順位
配偶者
3分の2

親又は祖父母
3分の1

第三順位
配偶者
4分の3

兄弟姉妹又は甥姪
4分の1

事例で見てみましょう。下記図を基に、幾つかの事例と結果を記載します。

事例
法定相続人
法定相続分

父が被相続人の場合
母
2分の1

長男と長女
各4分の1

父が被相続人の場合で、既に長男は亡くなっていた場合
母
2分の1

長女
4分の1

孫Aと孫B(代襲相続人)
各8分の1

長女が被相続人の場合
父
2分の1

母
2分の1

長女が被相続人の場合で、父と母が既に死亡していて、
かつ、長男も死亡していた場合
孫Aと孫B(代襲相続人)
各2分の1

法定相続分に縛られる必要はない
法定相続分は、あくまでも遺産を分割する目安です。民法で定められているからといって、必ず法定相続分にそって遺産を分けなければならないという決まりはありません。極端には、遺産分割協議によって、相続の一人が全財産を取得しても、相続人全員の有効な合意に基づくものであれば、何ら問題はございません。

遺留分とは

遺留分とはわかりやすくいうと、法定相続人が遺産を引き継ぐことのできる最低限の取り分のことです。例えば遺言書に、「配偶者の取り分はゼロ」「遺産の全ては長男が引き継ぐ」と書いてあった場合は、法定相続人の中で財産を受け取れない人が出てしまいます。こうした不公平な状況を避けるために、民法では法定相続人が遺留分を請求できるように定めています。

遺留分は、兄弟姉妹を除く相続人に認められていて、その割合は、直系尊属(親、祖父母)のみが法定相続人である場合には、法定相続分×3分の1で、それ以外は、法定相続分×2分の1となります。
例えば、被相続人の遺産総額1億円に対する配偶者と子供2人の法定相続分と遺留分は、それぞれ以下のようになります。
◯法定相続分
・配偶者(1/2):5,000万円
・子(1/2):2,500万円ずつ

◯遺留分
・配偶者(1/4):2,500万円
・子(1/8):1,250万円ずつ

遺産分割とは

遺産分割とは、相続人全員の話し合いにより、相続財産について、誰が、何を、どれだけ取得するかを確定させることを指します。例えば、法定相続分通りに相続するとしても、遺産分割協議が成されなければ、相続財産は、相続人全員の法定相続分での共有状態となります。法定相続分で相続するとしても、遺産分割協議は必要となります。
なお、次のような場合には、遺産分割協議が行えない等の問題が生じるため注意が必要です。
相続人の中に、判断能力が減退ないし喪失状態にある人がいる場合
連絡不能な方がいる場合
未成年者がいる場合
遺産分割協議は、遺言書を作成すること(内容にもよりますが)で、遺産相続手続きから省くことが出来ますので、上記のような問題がある又はその可能性がある場合には、ご遺族のためにも、必ず遺言書を作成してあげましょう。

民法上と税法上の相続財産の違い

遺産分割協議は、相続財産について行うものですが、その相続財産の範囲については、少々ややこしいところがございます。それが、民法上の相続財産と、相続税法上の相続財産の範囲は異なるということです。
遺産分割協議の対象となるのは、あくまで民法上の相続財産となります。例えば、受取人の指定された生命保険の死亡保険金は、民法上の相続財産とはならず、遺産分割協議の対象とはなりませんし、家族信託によって信託財産とされた財産についても同様です。ですが、いずれの財産も、相続税法上は相続財産となり、課税がされます。(生命保険は控除有)

遺言や家族信託がある場合の相続

一旦ここまでのお話を簡単にまとめますと、相続とは、被相続人の有していた財産を承継することで、相続できるひとは法定相続人として法定されていて、法定相続分という指標はあるものの、誰が、何を、どれだけ相続するかは、相続人全員による遺産分割協議で決定することとなります。
では、遺言や家族信託がされている場合の相続はどうなるかというのが、こちらのお話となります。
遺言がある場合には、その内容に従って相続することとなり、その内容によっては、遺産分割協議を行うことなく、相続手続きを進めていくことが可能です。
遺言書は、自身の意思に沿った遺産の取得をさせることが出来るという遺言者側としてのメリットがありますが、相続人側としても、遺産相続手続きにおいて最も面倒でストレスとの掛かる、遺産分割協議を省略することができるという点で、非常に大きなメリットがあります。
また、夫婦において、相続が発生するときというのは、一般的には、夫婦ともに高齢になられていることが多く、そうなると、相続発生時点において、残された配偶者に、認知症等判断能力の問題が生じている可能性がございます。判断能力に問題があると、その程度によっては、遺産分割協議そのものが行えなくなってしまうため、こうした観点からも、遺言により遺産分割協議を省略するメリットがございます。他にも、相続人に未成年者がいる場合や、連絡不能の相続人がいる場合等でも、遺産分割協議は問題となるため、予め遺言により省いてあげると、相続人としては非常に助かります。
家族信託についても同様で、家族信託も遺言と同様の機能を持たせることが可能であることから、遺言と同様に遺産分割協議を省くことができます。

ここまでが、相続の基礎知識の解説となりますが、如何でしたでしょうか。遺言や家族信託を行ってあげることは、ご家族のためにとても大切なことですので、ここまでの相続の基礎知識を参考に、相続についてお考えいただければと思います。
さて、次の章からは、相続税に関する基礎知識です。相続について考えるに当たって、必須となるところですので、こちらも、「わかりやすく、簡単に」をテーマに解説させて頂きます。
それでは、見ていきましょう。

司法書士 菱田陽介

<strong>菱田陽介</strong>

司法書士の菱田陽介と申します。90年以上、大田区を中心に、地域に根差して司法書士業務を行ってきた司法書士法人の4代目です。先代の紡いできた歴史を受け止め、尊重しつつ、これからも地域の皆様のお役に立っていけるよう、時代に対応した、新たな司法書士としての形を模索しながら、日々邁進しております。

専門分野・得意分野
家族信託、税務、財産活
資格
  • 司法書士(法人登録番号:11-00632 登録番号:6212)
  • 簡裁代理(認定番号:1101045)
所属団体名
東京司法書士会
所属事務所
菱田司法書士法人
所属事務所の所在地
東京都大田区大森北1-15-14 第11三井ビル4階

活動実績・専門分野

2023年東京司法書士会民事信託業務検討委員会副委員長、2024年東京司法書士会資産凍結及び相続対策検討委員会委員長を務める等、家族信託、相続分野において高い実績。
大田区地域に根差し、他業種と連携の上、お客様の総合的な支援を行っている。

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私たちは、司法書士と税理士を中心とする、相続や家族信託のプロフェッショナルです。「何をすればいいか分からない」といった段階からご相談頂けますので、お気軽にご相談下さい。

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