徹底解説!家族信託を自分でやると費用はいくらかかる?
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家族信託の手続きを自分でやる場合の注意点
信託口座開設や信託内融資の利用が出来ない可能性
金融機関における信託口座の開設や信託内融資の対応は、以下のいずれかに分類されます。
金融機関指定の専門家を利用しなければならない
金融機関の提供する家族信託サービスを利用しなければならない
指定はないものの、弁護士や司法書士を介さなければならない
家族信託を自分でやる場合には、いずれにも該当しないため、信託口座の開設、信託内融資のいずれも不可となります。ただ、あくまで、私が把握している限りの情報ですので、何らの制限なく対応してくれる金融機関もあるかもしれません。
家族信託に掛かる専門家費用を避けるべく、自分でやるのであれば、金融機関が対応してくれないということを念頭にお手続きをされた方が良いでしょう。
不動産売却等目的を達成できない可能性
例えば、将来、親が介護施設等に入る際に自宅不動産を売却し、介護施設利用費の原資に充てることを目的として、家族信託を利用したとしましょう。
自宅不動産売却の際には、隣地所有者や親族が買取るといったケースを除き、不動産売買仲介業者に売却を依頼することとなります。この場合、売買に基づく登記手続きを自分でやることは出来ません。見知らぬ買主が相手であり、登記手続きを、専門家である司法書士以外が行うことを容認するようなことは考えにくいですし、買主が融資を受けて購入するのであれば、融資金融機関がこれを容認することはあり得ません。
つまり、司法書士の関与と、ケースによっては金融機関の関与が生じ、いずれにおいても、不動産売買が問題なく行えるかという観点から信託契約書の内容を確認することとなりますので、不動産売買が出来ないという問題が生じ得るということです。
なお、これは一つの事例に過ぎません。問題の本質は、対外的に有効(認められる)な信託契約となっているかということです。家族信託は、作って終わりではないということを意識しておくことが重要です。
想定外の不利益を受ける可能性
家族信託の実行に当たっては、様々な注意点がございます。幾つか例を挙げてみます。
・不動産を相続する際の登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の0.4%となるのです
が、家族信託の場合、その内容によっては、2%となることがございます。
・信託した賃貸アパートと、信託しなかった賃貸アパートとの間での損益通算が出来ませ
ん。
・金融機関の抵当権等担保が付着している不動産を、金融機関の承諾を得ることなく、家
族信託により受託者名義とすると、一括返済を求められる可能性があります。
こうした不利益が顕在化するのは、相続発生時や受益者の確定申告時、金融機関に不動
産名義変更が発覚したときと、家族信託を組成した後となります。
家族信託は、契約締結で終わりではなく、それはスタートに過ぎません。家族信託を利
用される際には、その終了時に至るまでの見通しを立てておくことが重要です。