家族信託に掛かる費用を司法書士がわかりやすく簡単に解説!
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費用の内訳をわかりやすく簡単に解説!
専門家等報酬の内訳と相場
家族信託をサービスとして提供する事業者へ支払う報酬です。
家族信託の報酬は、大分類すると、家族信託組成と登記手続きの二つから構成され、その他の附帯事項として、公証役場立会日当や資料取得代行報酬がございます。
家族信託組成の報酬相場は、登記手続きと併せて、概ね、信託財産額の1%前後でと言われています(但し、若干相場は下がってきています。)が、事業者によりかなり落差があります。
ただ、依頼先によって、報酬の支払先の数と内訳が変わります。依頼先を分類すると、司法書士、弁護士又は行政書士、その他民間企業(金融機関含む)があるのですが、まずは、それぞれの行える業務について確認します。以下の表をご覧ください。
家族信託の依頼先
契約書文案作成
登記手続き
司法書士
可
可
弁護士又は行政書士
可
不可
その他民間企業(金融機関含む)
法律上不可
法律上不可
司法書士は全てに対応しているのですが、弁護士又は行政書士は、登記手続きが行えず(行政書士は法的に行えない。弁護士は事実上行っていない)、その他民間企業は、契約書文案作成と登記手続きが法的に行えません。
ここで気になるのが、その他民間企業は、何も出来ないではないかということですが、その他民間企業は、契約書文案作成業務の前提作業となる、どのような信託契約を作るかという骨組みの検討を、契約書文案作成業務から切り取って、コンサルティングないしこれに類する名目で業務を行っています。これを踏まえて、一連の家族信託手続きがどのように処理されるかを示したものが次の図表です。
家族信託組成業務
依頼先/業務名目
コンサルティング
契約書文案作成
登記手続き
司法書士
全て司法書士が処理
弁護士又は行政書士
自社で処理
司法書士へ外注処理
その他民間企業
(金融機関含む)
自社で処理
弁護士又は司法書士へ外注処理
司法書士へ外注処理
依頼先ごとの報酬内訳を図式化したものが次の図表です。
支払先の数が増えることと費用総額が上がることは必ずしも相関しませんが、司法書士意外の依頼先の場合、登記費用を掲載しておらず、安く誤認する可能性があるので注意が必要です。
公証役場の費用と目安
信託契約書の文案を公正証書とするために、公証役場に支払う費用です。
委託者と受託者が公証役場に出頭して作成するのが原則ですが、病院や介護施設、ご自宅へ公証人に出張してもらい作成することも可能です。この場合には、通常の公証役場費用に加えて、出張費用が加算されます。
公証役場の費用は、主に信託財産の額により変動し、目安としましては、信託財産額が5,000万程で5万円前後、1億円程で、7万円前後位です。正確な費用は、信託契約公正証書の文案が出来た段階で、公証役場が教えてくれます。
登録免許税と計算方法
不動産を信託財産とする家族信託をした場合には、その不動産の名義を受託者に移す登記手続きが必要となります。この際の登録免許税は以下の通りです。
土地の固定資産税評価額の0.3%、建物の固定資産税評価額の0.4%で、この合算額となります。
信託口座開設手数料
信託口座の開設の費用は、金融機関により異なり、無償~11万円(消費税込)の費用を徴収されるところまで様々です。
家族信託契約を終えたら、通常、信託された財産のうち、金銭を管理する口座の開設をします。この口座は、信託口座と呼ぼれるもので、一般的な口座と異なり、金融機関側において、受託者個人の財産ではなく、信託財産であるものとして、分別して取り扱われます。どういうことかと言いますと、通常の受託者個人名義の口座であると、受託者が死亡した場合に凍結してしまうことや、受託者が差し押さえを受けたときに、信託された金銭まで差し押さえられてしまいますが、信託口座であれば、こうしたことを避けられます。/